ノコンギクは、キク科シオン属に分類される多年草です。初夏から秋にかけて、淡い紫色のかわいらしい花を咲かせます。
日本の自然の中にも見られるこの野菊は、その清楚な姿で和の庭園や自然派のガーデニングの点景として好まれます。耐暑性と耐寒性を兼ね備え、手間をかけずに育成可能なため初心者の方にもお勧めの植物です。
しかし、市場で「ノコンギク」として販売されている花の多くは、野生種のノコンギクではなく、改良された園芸品種のコンギクです。コンギクには、さまざまな色合いの花を楽しめる品種があります。
この記事では、ノコンギクとコンギク、どちらの種類も「ノコンギク」として取り上げます。両者はいずれも強健な植物であり、同じ方法で栽培可能です。以下で、ノコンギクの特徴や育て方について詳しく解説していきましょう。
ノコンギク(野紺菊)の基本情報
10月の庭で咲くノコンギクについて、その特徴や栽培について見ていきます。
科名・属名 | キク科・シオン属 |
分類・形態 | 草花・多年草(冬落葉) |
原産地 | 日本 |
学名 | Aster microcephalus var. ovatus |
別名 | 野菊、コンギク |
花色 | 紫、ピンク |
花期 | 8〜11月 |
草丈 | 30〜60cm |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
日照 | 日向 |
育てやすさ | やさしい |
ノコンギクの特徴について
ノコンギクは、本州、四国、九州に自生するキク科シオン属に属する多年生植物です。日差しが強いところや道端に多く見られ、美しい野菊として知られています。
地下茎によって繁殖し、自然と群落を形成する特性があります。控えめな美しさを持つノコンギクは、日本式の庭やナチュラルテイストのガーデンに最適であり、切り花としても楽しむことができます。
冬季には地上部が枯れるものの、春が訪れると再び芽吹き、夏の終わりから秋にかけて、魅力的な薄紫色の花を咲かせます。
ノコンギクの葉や茎には細かな毛が生えており、手触りはザラザラとしています。耐暑性・耐寒性に優れ、育成には特別な手間がかからないため、ガーデニング初心者でも育てやすい植物と言えます。
病害虫への抵抗力も強いため、発生しても植物が枯れる心配が少なく、安心して栽培できます。
ノコンギク(野紺菊)栽培環境
西日が照りつける低木の根元にて、美しく開花するノコンギク。
日照と育成場所について
光が豊富な場所を好む植物です。花数は減少する傾向にありますが、薄暗い場所でも成長は可能です。
発育が盛んなため、比較すると庭植えが鉢植えより適しているとされています。ただ、根茎を伸ばして周囲に広がる性質があるので、庭植えにする際には植え場所を慎重に選びましょう。
望まない場所に伸びた場合は、こまめに株分けや除去を行うことが大切です。
理想的には暑い季節の西日は遮るべきですが、西向きの環境でも枯死することはあまりありません。私の家の場合、西日が当たる低木の周辺に植えており、特に成長に問題は見られません。
用土の選び方
ノコンギクは水はけがよく肥沃な土壌を好むため、適した環境での栽培が求められます。
鉢植えで栽培する際には、市販されている草花向けの培養土を使用することで、十分な成長が期待できます。
地植えにする場合は、庭の土を掘り起こし、そこに腐葉土を適量混ぜ込むことで土壌を改良します。
☁️
小さな紫の花を無数に咲かせている紺菊(コンギク)は野紺菊の園芸品種です🦔🌿
古くから栽培され人々に愛されて来た花。
気取らぬ美しさ。 pic.twitter.com/rFjw4X215v— マナマロン (@mmaarroonn1608) November 5, 2024
ノコンギク(野紺菊)の育て方
水やりについて
ノコンギクは適切な湿度を保つことを好む植物です。
鉢植えにした場合、土の表層が乾燥してきた際には、鉢の底から水が漏れる程度にしっかりと水を与えることが肝要です。
一方、露地植えにすると、植物がしっかりと根を張ることができれば、天水だけで生育に必要な水分を賄えるようになります。
肥料の与え方
野紺菊は多くの肥料を必要とする植物ではありません。鉢植えの場合、春から秋にかけて、指示された量の液体肥料を薄めて、月に1回程度施すのが適切です。
植え付け・植え替えについて
最適な植え付け時期は春とされていますが、ポット苗に関しては厳しい夏と冬を避ければ年間を通して植え付け可能です。
植え替えの時期と注意点
植替の好ましい時期も春になります。成長が活発なため、鉢植えの場合は根が鉢に収まりきらなくなることがよくあります。鉢底から根が見えた場合には、大きめの鉢への植替え、もしくは株分けを行いましょう。一方、地植えの場合は植え替える必要は通常ありません。
樹木の根元で鮮やかに開花するノコンギクは、その姿で多くの人々の目を楽しませてくれます。
手入れのポイント
花々は次々と美しく開花しますが、枯れた花が気になる方は定期的に花がらを摘み取りましょう。
また、低い位置での開花を希望する場合は、6月頃に枝を3分の1程度残すように刈り込んでおくことがおすすめです。
夏越しのポイント
耐暑性に優れているため、特段の対策が不要です。
鉢植えの場合は、強い西日が直接当たらないような場所に移動することを推奨します。
冬越しの手順
季節が冬に移行し葉が枯れ始めた際には、植物の茎を地面ギリギリで切り取って整えておきます。
一般的に寒さには比較的強いものの、地面に植え付けられた株に関しては、根元部分をバークチップや堆肥で覆うことで、しっかりとした凍結防止策になります。
鉢植えの場合は、霜から守るために家屋の軒下などを選んで移動させることが望ましいです。
秋から初冬にかけて、ガーデンを彩る菊の一種である野紺菊(ノコンギク)が、その美しい花を庭に咲かせます。
病害虫の発生について
植物の健康状態を保つためには、病気や害虫の発生に注意が必要です。多くの場合、目立った病気の症状は見受けられませんが、一部の害虫には注意が必要です。特にハダニやグンバイムシといった害虫は、環境によっては発生することがあります。
これらの害虫が多数発生しても、植物が枯れてしまうことは通常はありません。しかし、害虫の影響で葉に白いかすれたような斑点が現れたり、小さな穴が開いたりすることで外見の美しさが損なわれる場合があります。
害虫の存在を確認した際は、見た目を損ねないため、また、被害が拡大するのを防ぐためにも、早急に適切な方法で駆除することをお勧めします。
増殖方法について
野紺菊は、株わけ、種播き、さし木により増やすことが可能です。
株わけは春が最適な時期であり、種をまくのに適した時期は2月頃です。また、さし木を行なうのに良い時期は5月から6月にかけてとされています。
のこんぎく(野紺菊)。花のない季節には主役。
「草刈の鎌にこぼるゝ野菊哉」(寺田寅彦)。 pic.twitter.com/j4gH0Vb0kU
— 奥井智之 (@tomoyuki_okui) August 5, 2023
まとめ
- 本州・四国・九州に分布するキク科の多年草
- 夏の終わりから秋にかけて薄紫の花を咲かせる
- 園芸品種のコンギクは紫とピンクの花色がある
- 日当たりを好む
- 地下茎を横に伸ばしてよく広がる
- 株分け、種まき、挿し木で増やせる
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