ビジネスの現場で頻繁に使われる「お伝えしました通り」という言葉。礼儀正しい表現とはいえ、使い方を誤ると相手に不快感を与える可能性があります。
この記事では、「お伝えしました通り」という言葉の意味や正しい使用方法、ビジネスシーンで適切な言い換え表現、実際に使用する際の具体例をご紹介します。
例えば「お電話でお伝えした通り」とか「先にお伝えした通り」という表現を耳にすることがあるでしょう。これらは、過去に伝えた内容を再度相手に思い出してもらう際に使う表現です。
ビジネスにおいては、これらの言葉がよく使用されますが、相手に誤解を招かないよう、礼儀正しい表現を選ぶことが重要です。
「お伝えしました通り」の意味と敬語の使い方
「お伝えしました通り」とは、「以前に申し伝えた通りです」という意味で、既に伝えたことを相手が覚えているかの確認や、再確認をする時に用いる表現です。
このフレーズを使うことで、次のような意図を持っていることが伝わります。
- 先に伝えた内容が変わっていないという点を強調したい場合
- 誤解を回避するため、改めて情報を伝えたい場合
- 相手が既に伝えた内容を理解しているか確認したい場合
「お」は丁寧さを表しますし、「ます」の形は丁寧語として用いることができます。したがって、「お伝えしました」という表現は目上の人に対しても正しい敬語です。しかし、「お伝えいたしました」という言い回しを使うと、さらに丁寧な表現になります。
最近社長と話すより課長と話す方が敬語になってる
社長→「いやぁ、んなこたないッスよ。まあそれなり順調でぃっす、見てみます?」
課長→「いいえ、そのようなことはございません。先だってお伝えしました通りに進めておりますが、正確な進捗をお出しいたしますので少々お待ちください。」— りがち (@arigachirigachi) June 27, 2012
「お伝えしました通り」の正しい使用法と例文
「お伝えしました通り」は、敬語表現として、上司や業務関係者、同僚などに対して使用される言葉です。
この表現は、以下のような状況で用いられることが多いです。
- 相手に具体的な指示を伝える際
- 過去に説明した内容を再び確認する必要がある場合
- 曖昧さを避けて、明確なコミュニケーションを取りたい時
例えば、以下の文例においてこの表現を活用することができます。
- 昨日お伝えしました通り、資料の提出期限は明日までです。
- お話した通り、本日の打合せは11階の会議室で行います。
- 先程ご連絡した通り、今日は担当者が不在となっております。申し訳ありません。
【過去の説明内容を再度確認したい時】
お伝えした通り、明日までに資料をお送りします。
承知しました。ご確認ありがとうざいます。
例文を見ると、「お伝えしました通り」は、過去に伝えた内容を改めて確認し、相手との理解を一致させるときに有効に用いられることがわかります。
過去に伝えた情報を相手に思い出させるフレーズとして「お伝えしました通り」が活用されますが、使い方によっては相手に不快感を与えたり、無礼にあたる可能性があるため注意が必要です。
「お伝えしました通り」の使い方のポイント
「お伝えしました通り」という表現は、自分が先に伝えた内容を再度強調する場合に用いられる言い回しです。
しかしながら、この表現には一方的なニュアンスが含まれるため、相手に対する思いやりを持って使用することが重要です。
「お伝えしました通り」を使う際の留意点:
丁寧な言葉遣いについて
「お伝えしました通り」という表現自体はすでに丁寧な言い回しとなっています。しかし、さらに礼儀を示すために、次のような言葉を加えることが可能です。
- 誠に恐れ入りますが
- 先ほどお伝えいたしましたように
- お伝えさせていただきました通り
【補足です】
「お伝えさせていただきました」という言葉は、二重敬語ではありませんので、適切な敬語として使用できます。ただし、「させていただきます」という表現には使用する条件があることを忘れないでください。
「お伝えいたしました」という言い方も、「お伝えさせていただきました」と同じように丁寧な印象を与えます。
こちらの表現には特定の使用条件がございませんので、様々な状況でお使いいただけるでしょう。
- ご理解いただければ幸いです。お伝えしたとおり、納期は今月末です。
- よろしくお願いいたします。申し上げたとおり、あいにく納期は今週末になります。
- ご了承いただけますと幸いです。お伝えしましたとおり、あいにく変更は承っておりません。
伝達内容の再確認を促す表現の工夫
「お伝えしました通り」という表現だけに留めず、「先ほどお話した通り」「既にご案内した通り」といったフレーズを用いることで、伝達のタイミングや内容を具体化させ、相手が既に得た情報を思い出しやすくし、理解を深めることに繋がります。
コミュニケーションの工夫と配慮
「ご確認のほどよろしくお願いいたします」「何かご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください」などの表現は、相手に次のアクションを促したり、疑問点を解消するための環境を整えることができます。
同じフレーズの繰り返しは敬遠される可能性があるため、避けた方が無難です。
場面に応じて異なる言葉を選ぶことを意識しましょう。「既にお伝えした通り」と一言で切り捨てるよりも、相手が十分に理解しているかどうかを気遣った対応が求められる場合があります。特に「既にお伝えした通り」のような表現は、相手が知っていることを前提としており、場合によっては上からの指示と受け取られる恐れもあります。
では、どのような表現が好ましいのでしょうか。以下の例を参考にしてください。
- ご確認いただけますでしょうか。
- 再度ご説明させていただきますので、ご注意いただけますと幸いです。
- 補足説明をさせていただきます。
また、相手の理解を確認するための言い回しも大切です。
- ご不明な点があればお気軽におたずねください。
- 何か疑問がございましたら、どうぞご遠慮なくお尋ねください。
もしくは別の角度からアプローチを試みることもできます。
- 以前お話しした内容と被りますが、再度ご案内させていただきます。
- 再確認していただくためにも、重要な事項を改めてお伝えいたします。
相手に対する心遣いと丁寧な言葉遣いを意識することで、よりスムーズな対話が期待でき、「既にお伝えした通り」という表現の代替が実現します。実際、「既にお伝えした通り」というフレーズよりも、上記の方法が相手にとっては親切で丁寧な印象を与えるでしょう。
様々な状況が想定される中で、「既にお伝えした通り」を柔軟に使い分け、時と場合によって上述の表現を取り入れることで、より良いコミュニケーションを実現しましょう。
「お伝えしました通り」の使用に際する注意点とさらに丁寧な言い回し
「お伝えしました通り」という表現は、以前に伝えた情報を再確認する際に使用されますが、場合によっては相手に対して礼儀を欠いていると捉えられてしまうことがあります。
礼儀正しいコミュニケーションを心掛けるため注意すべきポイントと、より柔らかな表現方法をご紹介します。
「お伝えしました通り」を使用する際の注意点
- 相手が前回の情報を記憶していないことも想定する
- 相手にただ情報を伝えるのではなく、確認を求める態度を示す
相手が記憶していない可能性を考慮すること
以前伝達した内容が十分に伝わっているとは限らないことがあります。特に、時間が経過していたり、内容が複雑な場合は、内容を簡潔に再度説明することが礼儀正しい対応と言えます。
それでは、どのように伝えると良いでしょうか?以下の一例をご紹介します。
- 大変恐縮ではございますが、以前お伝えしたことにつきまして、ご確認いただくことはできましたでしょうか。
- 先に行われた会議にて、〇〇の件につきましてお話しさせていただきましたが、その後のご意見を伺ってもよろしいでしょうか。
- 恐れ入りますが、お伝えした内容につきまして、記憶にございますでしょうか。何かご不明な点があれば、遠慮なくお尋ねください。
伝えた内容を明確に示すことで、相手が忘れている可能性を減らすことができます。
相手の協力を得るためのコミュニケーション方法
通常の伝達よりも更に協調的なアプローチが必要とされる際には、相手の納得と協力を得ることを目指し、次のような点に留意すると良いでしょう。
- 意図を明確に伝える:協力を求める際には、その目的や理由をはっきりと説明しましょう。
- 丁寧な言葉遣い:相手を尊重する姿勢を示すために、敬語を適切に使い、丁重な表現を心がけましょう。
例えば、「先日、お電話でご説明申し上げた件について、改めてご案内させていただきます。」や「お手数をおかけしますが、これまでお伝えした内容について、ご確認をお願いできますでしょうか。」のように伝えることができます。
また、「恐縮ですが、以前お伝えした事項を一緒に見直していただけないでしょうか。」という形で相手の協力を求めることで、より円滑なコミュニケーションを図れます。
これまでお話した内容を踏まえつつ、別の表現に置き換えてみることも大切です。心地よいコミュニケーションのために、さまざまな言い回しを活用しましょう。
私の性格が悪いだけかもしれないが、同じ質問をされると「先日もお伝えしました通り……」と必ず枕詞つけてしまう
特に向こうが「なんで教えてくれないの?」のスタンスで来た時はカチンとくる— 村雨 (@murasame_eee) November 14, 2024
「お伝えしました通り」の表現変換
「お伝えしました通り」は、敬語を用いた表現であり、この言葉を使うことで目上の人への敬意を表すことができます。また、言伝えた内容が相手にどれだけ伝わっているかを確認するための言葉として用いることが大切です。
「お伝えしました通り」は以下の様に変えられます:
- より礼儀を示す表現として:「重ねて申し上げますと」
- 上位者に使う際の表現:「お伝えさせていただきました通り」
- すでに伝えたことを念を押す表現:「前述の通りですが」
- 更に丁寧な表現:「重ねてになりますが、念のためご案内申し上げます」
- 内容を具体化して伝える:「先ほどご説明したように、〇〇の点にご注意ください」
- 改めて注意喚起する表現:「念のためご案内申し上げます」「念のため、ご確認させていただきます」
これらの表現に加え、「ご承知の通り」、「ご案内の通り」、「以前申し上げましたように」という言い方もあります。
これらの選択肢を押さえることで、「お伝えしました通り」と繰り返すことなく、相手に対し分かりやすく情報伝達ができます。
具体的な言い換え例
- 「ご存知かと思いますが、締め切りは明日です。ご確認をお願いいたします」→「ご存知かと思いますが」という前置きで、相手に以前の告知を思い出させ、かつ「ご確認をお願いいたします」と添えることで、丁寧に伝えます。
- 「念のため、ご確認させていただきます。よろしいでしょうか」→「念のため、ご確認させていただきます」と表現し、相手に確認を促すと同時に「よろしいでしょうか」と尋ねることで、相手の同意を得る礼儀正しいアプローチです。
まとめ
今回は「お伝えしました通り」について解説しました。使用する際の注意点として、私の体験談や、その改善策を述べました。
同じ意味の違う表現を覚えておくことで、相手に敬意を示すことができ、表現の幅が広がります。多様な言葉を使いこなし、仕事や日々の生活に役立てていただければと思います。