大山咋神(おおやまくいのかみ)は、日本神話において自然に関連した神として登場する存在であり、特に山岳や農業などを司る神様として親しまれています。
その名前が象徴するように、山を束ね固定する杭のように、山や土地の守り手としての役割を持つことから、「山を守る」神様とされているのです。
この文章では、大山咋神にまつわる家系や、同じく山岳信仰の対象である大山祇神との区別、神祀(まつ)りが行われている神社、そしてこの神様に期待される神徳につき、深く探求していくことにします。
大山咋神の系図
大山咋神は、大年神を父に、天知迦流美豆比売を母に持つとされる神様です。
大年神は、農耕や豊穣を司る神様として親しまれ、大山咋神もそれに連なり山や農を守る神様であるといえます。
また、賀茂建角身命と同一視されることもあり、それゆえに賀茂神社(上賀茂神社及び下鴨神社)とも深い関連性を有しています。
日吉大社東本宮。
こちらは大山咋神を祀り、創建は西本宮よりはるかに古く崇神天皇7年のことといいます。 pic.twitter.com/3vL2SdbkGO— 凧 (@tennrinkaija211) August 19, 2023
大山咋神と大山祇神の相違点
大山咋神と大山祇神は共に山を司る神として知られていますが、漢字表記が類似しており一見同じ神のように見えるため、しばしば混同されることがあります。
しかし、これらは役割や神話における背景が異なる独立した神々であることに注意が必要です。
大山咋神について
大山咋神(おおやまくいのかみ)は、大年神の御子とされる神様で、京都の松尾神社や比叡山、さらには日吉大社においてご祭神として祀られています。
この神は、地域ごとの豊かな土地を守護し、農業の繁栄をもたらすことから、多くの人々に深い信仰を集めています。
大山祇神
イザナギおよびイザナミの子どもとされ、山岳を統べる総括的な神として知られています。特に、自然界を護る神としての特性が際立っており、瀬戸内海に浮かぶ大三島に鎮座する大山祇神社を信仰の中心としています。
このような大山積神が「山岳を総括する神」という位置づけであるのとは対照的に、大山咋神は「各地の山を守護する神」として、地域に根差した神性を有しているとされる点が、その独自の特色といえるでしょう。
大山咋神のご利益一覧表
土地や山の守護 | 地域の山岳や土地を守護し、自然災害から守るご利益。 |
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農業・収穫の繁栄 | 農業の発展や豊作、収穫に関連する祈願に効果があるとされる。 |
厄除け・家内安全 | 災厄を取り除き、家庭の平穏や安全を守るご利益。 |
商売繁盛 | 商業や事業の成功を支援するご利益。特に商人や事業主に信仰される。 |
縁結び | 良縁を結び、調和の取れた人間関係を築くご利益。 |
交通安全 | 比叡山信仰を通じて、旅や移動の安全を守るご利益。 |
生命力・再生 | 山岳神としての性格から、生命の活力や自然の循環を促す力があると信じられている。 |
大山咋神を祀る神社
大山咋神は、松尾大社および日吉大社において祀られている神様です。
【日枝神社(東京都清瀬市)】
祭神は大山咋神
1579年に中島筑後守信尚によって創建されたと伝わる
摂末社を多く抱えており、水天宮は本社に匹敵する規模で入口も別に作られている #神社 pic.twitter.com/aPHYHnwHhv— 歴史のまにまに🍄🟫 (@tennessee_rose8) June 6, 2024
まとめ
大山咋(おおやまくい)神は、山々や土地の守護神として全国各地で尊崇され、京都における最古の神社に数えられる松尾大社や、比叡山の山麓に鎮座する日吉大社等、松尾神社や日枝神社を通じて信仰が深まっています。
農耕、豊穣、厄払い、縁結びなど、多岐にわたる恩恵を与える大山咋神は、地域の信仰心はもちろん、現代社会においても欠かせない神様として尊重されています。