大晦日(おおみそか)や月末に行われる「晦日祓い(みそかばらい)」とは、長い時を経て日本に受け継がれてきた清浄な状態を取り戻すための儀式です。
私たちが日々生活する中で積もり積もった心や身体の穢れ、住環境の不浄を払い清め、新しい時を迎えるための準備とされています。
この習わしは、神道における精神的な清めである禊(みそぎ)、物理的な清めである祓(はらえ)の伝統的な考え方に根ざしています。
本稿では、晦日祓いがどのような由来を持ち、いつ行われているのか、また実際の執り行い方や今日でも伝統を守る地域について詳細にご紹介いたします。
晦日祓いについて
晦日祓いとは、主に月末や年末に不浄や穢れを清めるための儀式であり、広く「大祓」という行事の一環とされています。
実は大祓は、年に二度、6月と12月に各地の神社で厳かに行われる国家的な宗教行事です。しかし、晦日祓いはもう少し身近な、家庭や地域コミュニティで行われる風習として広まっています。
多くの家庭では、この儀式を「みそかっぱらい」と称し、特に年の瀬の大晦日に、家の主が祓いのための紙垂を手にして、家の隅々を丁寧に清めます。そして、その日の日付が変わる納めの瞬間を迎える前に、紙垂を家の周囲や敷地の地面に設置して、穢れを払い清め、清新な新年を迎える儀式となります。
「晦日」という言葉自体は、月の最後の日を意味しており、一年で最も重要視される12月の晦日は「大晦日」と特別に呼ばれています。
晦日祓いが最も盛んに行われるこの日ですが、地域によっては毎月の晦日にも同様の儀式を行う習慣があります。
【バラキの数】大晦日の風習「晦日祓い(みそかっぱらい)」の御幣。通常は1本だが田尻5丁目のとある駐車場では4本という物量作戦に出ていた。「何があろうと厄を払う!」という強い意志を感じさせる光景だ。#飽和攻撃 pic.twitter.com/14SO2WLpvr
— 原木中山マニアックス (@b_maniacs) January 21, 2023
年末の大祓いの実施時期
年末の大祓いは、以下のタイミングで行われることが一般的です。
月末の祓いの儀式
毎月末日に、1ヶ月間に溜まった穢れを払い清めるための儀式が行われます。
12月31日(大晦日)について
一年の汚れを払い除け、新たな年を清らかな心持ちで迎え入れるための行事が執り行われます。
大晦日のお祓いの進め方
大晦日のお祓いは、地域や家庭により異なる習慣がありますが、以下のような手順で行われることが多いです。
家屋お清めの伝統
毎年大晦日には、我が家の惣持(家主)が紙垂を取り扱い、家の隅々までをお清めする習慣が古くからあります。家の内外を祓い清め、新年を迎える準備を整えます。
紙垂は神事に欠かせない道具であり、神道の教えに基づいた禊ぎや祓いで用いられることで知られています。家や土地に宿る穢れを払い、清浄な状態にするのが目的です。
この行事においては、お家の各所をきちんと清め、穢れなき新年を迎えるための準備を行います。祓いは家の中心から門扉などの外まで、紙垂を用いながら整えていきます。
特に、家の「隅」や「境界」部分は不浄が蓄積しやすいとされているため、特に入念に祓いを行う必要があります。
お清めの最後には、紙垂を敷地の地面にさすことで、土地を守る神や産土神への感謝を示すとともに、家族全体の安寧と繁栄を祈願します。
紙や人形を用いた穢れの祓いについて
「人形代」と称される紙や藁で作成された人形にご自身の名前や年齢を記し、そこに穢れを託す風習があります。
この人形代は、神社にお納めするか、もしくは川に流すことで、穢れを清める行為が行われます。
塩や清水での清め方
住まいの玄関や敷地の四つ角に塩を撒くことで、不浄を払う伝統的な手法があります。
同様に、清水を用いて手や顔を洗い清める禊(みそぎ)も広く行われています。
清掃を通じた浄化
居住空間や神棚を丁寧に清掃し、不浄を除去することで聖域を保ちます。年末には、これを「年越しの大掃除」として家の隅々まで行う習慣があります。
天津祝詞による祓いの儀
神社や家庭において、「天津祝詞」を奏上し、清めの式を行う習わしがあります。
炎や香の浄化法
火をともす、または香をたくことによって、空間の清浄化を図る手法が存在します。
大晦日のお祓いの現代への適用
今日において大晦日のお祓いは、宗教行事という枠を超え、日々の暮らしの中での精神的リフレッシュや心の洗濯の手段として取り入れられることが多くなっています。
ストレス社会を生きる我々にとって、自己を内省し新たな始まりを迎える機会として、その価値が見直されているのです。
さっき「ミソカッパライ(晦日祓い)」を済ませました。
これで当家の正月準備は終了です。それでは皆様よいお年を~
(*・ω・)ノ pic.twitter.com/o9CnlWhDrg— 樹下清 (@rokumeibunko1) December 31, 2020
概要
月末や年末に行われる晦日祓いは、日本古来の清めの儀式として知られています。
この行事は大祓から派生したとされ、日常生活の穢れを払い清めるためのものです。具体的な方法には、家の大掃除や、身代わりとなる人形の使用、清水を用いた清め、塩をばら撒くこと、祝詞を唱えることが含まれます。
地域によっては、特に京都や島根において、古くからの風習が強く残っているのが特徴です。
現代社会においてもなお、心身ともに清浄な状態を保つために、晦日祓いは欠かせない行事として多くの人々に受け継がれています。新たな月や年を迎えるにあたり、この美しい日本の伝統を経験し、心身のリフレッシュを図ることをお勧めします。