「お知らせいたします」という言葉はビジネスシーンでしばしば目にします。これは、ビジネスメールや 社内文書で用いる丁寧なフレーズです。
しかしながら、社内コミュニケーションや顧客への対応でこのフレーズを使う場合、どのようにすれば礼儀正しく伝達できるのか、疑問を抱く方も少なくないでしょう。
本稿では、「お知らせいたします」の妥当な使用方法と敬語の表現、代わりのフレーズや留意すべき点を具体例を交えて解説いたします。
「お知らせいたします」とは
「お知らせいたします」という表現は、「知らせる」という動作に対する謙譲語の一つです。相手への情報提供を行う際に、敬意を表しつつ使われる言葉です。
特に業務の連絡や報告において、上司や取引先など、相手を敬う立場でのコミュニケーションでは頻繁に用いられる表現です。
敬語の「いたします」は平仮名で書くことが一般的です。
「お知らせいたします」というフレーズには疑問を抱く方もいらっしゃいます。「お」がつくことで、自分の行動を指しているにもかかわらず、敬う表現が使われているからです。
この違和感は、間違って「お知らせいたします」を尊敬語だと考えていることが原因かもしれません。実際には謙譲語の範疇に入る表現です。
お願い致します→お願いいたします
ひらがなで書けの前に
お〜する+ いたす
で二重敬語違うんか?— ヤニカース (@udboIF9LFlw23PT) October 6, 2024
二重敬語についてのご説明
「お知らせいたします」という表現が敬語として正しいのかについてご説明します。
「お〜いたす」という言葉の構成には、敬意を表すために「お」が付き、謙譲語である「いたす」が使用されています。
【謙譲語】「お〜いたす」
例えば、「お伝えいたします」の形で、お客様に情報をお届けする際に使われる言葉です。謙譲語は、話者自身が謙って相手に敬意を表します。
他にも謙譲語として以下のような表現があります:
- お送りいたします
- お持ちいたします
- お伝えいたします
こういった言葉の組み合わせはすべて正しい敬語の使い方であり、二重敬語ではありません。
では、二重敬語とは何かというと、一つの表現に敬語を重ねて使う誤った言い方を指します。
【二重敬語の例】
- お伺いいたします
- ご覧になられました
- お見えになられました
- お帰りになられました
- お待ち申し上げております
上記のような表現は二重敬語にあたります。例として、「お伺いする」も謙譲語を2回使うことになるため、二重敬語になります。
つまり、「お知らせいたします」という表現は二重敬語ではなく、適切な敬語の使用法です。この他にも二重敬語についての詳細を解説しているので、ご参考になれば幸いです。
外部の方達とメールでやりとりをさせていただく機会が増えて、少しずつですがビジネスメールのマナーを覚えてきました。
この歳でやっとですが😂尊敬語や謙譲語、二重敬語になってしまわないか等、いつも必死に調べています🧐
日本語は難しい。— 就労支援なすの(おぐちえ) (@nasunosyuurou) December 6, 2024
「お知らせいたします」の使用シーン及び典型的な文例
「お知らせいたします」は、相手に情報を伝達する際に使用する礼儀正しい表現で、特に情報伝達、状況報告、変更の通知など、様々な場面で用いられます。
会議やセミナーに関する案内
セミナーや会議などの情報を伝える際に用いられます。
- 会議の日程についてお知らせいたします。12月25日(水)10時より会議室にて開催します。
- セミナー開催に際してのご案内です。1月10日(水)15時からオンラインで実施します。
変更や更新のお知らせ
スケジュール変更や内容更新があった場合に通知します。
- 人事異動に伴い、〇〇が営業部へ配属されましたのでご連絡いたします。
- 本日よりサービス内容が一部変更になりましたので、ここにお知らせいたします。
結果報告や謝辞の発信
成果の報告や感謝の気持ちを表す際に使用します。
- 皆様のご協力のおかげで目標達成ができましたので、御礼申し上げます。
- 資料を発送いたしましたので報告します。お手元に届くまで少々お待ちください。
サービスの終了や変更告知
プランやサービスの終了、変更を伝える際に使われます。
- プラン内容の変更があったため、ご連絡いたします。詳細は添付資料をご覧ください。
- 〇〇サービスに関しましては、2025年2月末をもって終了する運びとなりましたので、お知らせいたします。
注意喚起やお願いを伴う案内
注意を喚起する内容やお願い事項を伝える際にとりいれられる表現です。
- 現在システムへのアクセスが集中しており、繋がりにくい状況ですので、こちらでお知らせいたします。
以上が「お知らせいたします」を用いた基本的な文例となります。
ご案内
通知する内容に応じた情報を「〇〇」の箇所に入れてご利用いただけます。
- 明日開催される会議の詳細につきましてご案内申し上げます。
- システムメンテナンスの実施予定に関するお知らせです。
「詳細は改めてお知らせします」の使用場面
詳細が明確になっていない、もしくは伝える準備が整っていない場合に概略を伝え、その後で詳細情報を提供する旨を告げる際に使われる表現です。
- 会議の日時は決定していますが、その他の詳細については、後日お伝えします。
- スケジュールに変更がある可能性がありますので、確定次第改めてご連絡いたします。
このように、内容が確定していないことを通知しつつも、後日情報を提供することを保証することで、信頼を保つ効果がある表現です。
営業時間の変更についてのお知らせ
拝啓、時下ますますご清栄のことと存じ上げます。さて、弊社営業時間に関しまして変更がございましたので、下記の通りご案内申し上げます。
変更前 | 9:00〜17:00 |
変更後 | 8:00〜16:00 |
※変更の詳細につきましては、以下の点にご注意いただきますようお願い申し上げます。
- 変更事項の連絡に際しては、「恐れ入りますが」や「お手数をおかけしますが」といったクッション言葉を用いることで、心遣いを示すことができます。
- メールや文書で営業時間変更の通知を行う場合は、結びにも配慮し、「以上、お知らせ申し上げます」と締めくくることをお勧めします。
敬具
貴社ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
「お知らせいたします」の別の表現
「お知らせいたします」というフレーズは、伝えたい内容の重要性や相手との関係性を考慮し、様々な言い回しに変えることが可能です。
例えば、より親密な関係の場合は、「お知らせします」と簡潔に表現することも一般的です。
「お伝えいたします」の使用例
- 使い方:何かを礼儀正しく伝える時に用います。
- 利用場面:ビジネス会議や正式な場でしばしば使用される表現です。
- 例文:了解いたしました。
速やかに手続きを行い、その結果をご報告させていただきます。
「ご連絡申し上げます」
- 使用の際:何かを伝達する、連絡する場合に用いられる言葉です。
- 使用例:お問い合わせの内容に関しては、明日中にご連絡申し上げます。
「報告のお知らせ」
- 使用シーン:上位者または関係各位に対し、成果や進行具合を伝える場合に適用されます
- 例:昨日開催された会合の正式記録を、本日内に申し上げます。
まとめ
「お知らせいたします」という表現は、様々な環境で活用可能です。そのシチュエーションにフィットする言い方を見極め、相手に情報を明快に伝達することが大切です。
具体的な使用事例として、ビジネスの場面で頻繁に利用される「お知らせいたします」の文例を紹介しました。
これらを参考にしていただければ幸いです。