「ご承知おきください」という言葉は、事前に相手に伝えておくべきことを丁寧に伝える際に使用されます。
しかし、特にビジネスシーンにおいて、その表現が目上の人にとって不適切ではないか、またはより優しい言い回しがないかと考える人も少なくありません。
本記事では、そういった「ご承知おきください」の意味や適切な使い方、さらに敬意を表すための代替表現について、例文を交えてご説明していきます。
目上の方に対して「ご承知おきください」と使用することについて、やや断定的な印象を受けるとする意見があります。
より柔らかな表現をお探しであれば、「お含みおきください」というフレーズが適しています。
「ご承知おきください」の意義と適切な敬語表現
「ご承知おきください」とは、相手に対して予め了解しておくように伝えたい時に使用する表現で、「前もって知っておいてほしい」というニュアンスが含まれています。
敬語の使用について
「ご承知」という表現における「ご」は尊敬語であり、「ください」という部分には丁寧語が使われています。
この2つの言葉が組み合わされているため、初見では二重敬語のように感じられることもありますが、「ご〜ください」という構造で尊敬語が成立するため、実際には正しい敬語表現です。
知っといてください、もご認識ください、とかご承知おきくださいとか言っちゃう。逆にストレートに言って和む時もあるし、言葉の使い方っておもしろいと思う。 https://t.co/GRqIY3tT7h
— pride-potate (@PotatePride) April 15, 2024
「ご承知おきください」の使用における留意点
言葉の選択はその場の状況や相手の立場によって変わります。
「ご承知おきください」というフレーズは丁寧な言葉づかいではありますが、目上の方に対して使用する場合、以下に述べる理由から不適切とされることがあります。
命令形「ください」の使用について
- 「ください」という表現には命令の意味合いが含まれており、これを目上の方に使うことで相手を不快にさせる可能性があります。相手が自分の意志を押し付けられていると感じることで、不適切な印象を与える恐れがあります。
「承知」の誤解を招く可能性
- 「承知」には謙譲語と間違われることがありますが、厳密にはそうではありません。「承る」という謙譲語が存在するために生じる誤解であり、これによって相手の立場を低く見せてしまう結果になることがあります。
したがいまして、目上の方には「ご承知おきください」という表現よりも、「ご了承いただければ幸いです」「ご理解いただけますと幸いです」といった柔らかな言葉を使用することが望ましいとされています。
丁寧な言い換えの例
例として、上司に対して「明日の会議は中止になりました。ご承知おきください」と伝えると、上司によっては「命令されている」とか「配慮が足りない」と捉えられるリスクがあります。
一方で、「明日の会議は中止となりました。何卒ご了承いただければ幸いです」と伝えることによって、敬意を表した丁寧で柔らかい印象を与えることができます。
「ご承知おきください」の適切な使用シーン
では、「ご承知おきください」はどのような状況で誰に対して使用するのが適切かというと、一般的には不特定多数の人々への情報の伝達時に適しています。
この表現は広く一般に向けてのお知らせなどに用いることで、適切なニュアンスを伝えることが可能です。
「ご承知おきください」の適切な使い方と例示
一般的に、「ご承知おきください」というフレーズは、集団への通知やある程度正式な文脈で使用され、相手が同等の立場、もしくは若干上位にあるときに適している表現です。
例えば、職場におけるメール交換で「会議の場所が変更されましたので、ご承知おきください」と述べる際、この言葉を用いることで、受け手に負荷をかけず且つ礼儀正しくインフォメーションを伝えることが可能です。
すなわち、「ご承知おきください」は上司や先輩に対しても使用できますが、その際はその場の状況に応じて適宜慎重に選択しましょう。
- 会議の時刻が15時から16時へと変更となりました。ご承知おきください。
- メンテナンス作業に伴い、明日の午前中サービスを一時停止いたします。ご承知おきください。
- メンテナンス作業のため、下記の時間帯はサービスが一時休止となります。ご承知おきください。
- 本資料には秘密保持が必要とされる情報が含まれています。取扱いに関しては充分ご注意ください。ご承知おきください。
【#古代エジプト美術館展】
大好評の企画展「古代エジプト美術館展」は明日までの開催です。
混雑緩和のため入場制限を行う場合がございますので、あらかじめご承知おきください。#古代エジプト #エジプト美術 #万代島美術館 pic.twitter.com/x9hizWRTJJ— 新潟県立万代島美術館 (@niigata_banbi) December 14, 2024
「ご承知おきください」の適切な言い換えと類語
「ご承知おきください」という表現には命令的なニュアンスが含まれているため、相手が目上の人物である場合、礼儀に反する恐れがあります。
このため、そのような状況で使用する際には、さらに敬意を表した穏やかな言い回しに置き換えるべきです。
「ご理解いただけますと幸いです」
こちらは、話し手が相手に自身の意図や要望を分かってもらうことを期待する際に用いられる丁寧な表現です。
例えば、「皆様のご協力が不可欠です。ご理解いただけますと幸いです。」
ご理解とご承諾を賜りたく存じます
「こちらの状況をご理解いただき、同意していただけると幸甚に存じます」という意味合いの表現です。より礼儀正しく「お手数をおかけしますが、こちらの事情にご理解をいただき、ご承諾いただけますと心より感謝申し上げます」と伝える場合に用います。
例としては、以下のような文章が考えられます。
「大変申し訳ございませんが、やむを得ない事由により、予定されていた会合の日程に変更をさせていただくことになりました。ご理解とご承諾を賜りたく存じます。」
「お含みいただくことの意義」
「幸いです」という言葉には、「〜していただければ幸甚です」という、相手に対する願いや期待を表すニュアンスが込められています。この言い回しを用いることで、相手に敬意を示しつつ、より礼儀正しい印象を与えることが可能です。
また、命令形を避けることで、ソフトな表現としてお願いの意図を伝えることができ、相手を不快にさせることなく、スムーズに要望を述べることができます。
例文：「議事録の内容を、今後のご検討材料としてお含みいただけますと幸いです。」
重要事項の周知に関するお願い
特段の重要事項を伝達するに際して、ビジネス文書における対外的なコミュニケーションや、上司に対する報告書にて活用される一段と敬意を表する言い回しとして、「お含みおきくださいますようお願い申し上げます」という表現がございます。
この表現は、「お願い申し上げます」という謙譲語を使用しており、相手に対する敬意を深く示すことができます。このように丁寧な言葉遣いは、相手への配慮を形にし、より印象深いコミュニケーションを実現する手段となります。
ご参考までの一例といたしましては、「納期が予定を遅れる場合がございますので、その旨をお含みおきいただけますよう、何卒お願い申し上げます」といった表現が挙げられます。
相手との関係性を十二分に鑑み、ふさわしい言葉選びを心掛けることが望ましいとされております。心を込めた言葉使いで円滑なコミュニケーションを目指しましょう。
まとめ
「ご承知おきください」という表現は、情報を広く伝えたい時や、やや改めた様子で、相手が自分と同等かそれ以上の立場にある場合に使用するのが適切です。
常に相手との関係性やその場の状況を考え、ふさわしい表現を選びましょう。特に、目上の人に向けた個別の連絡では、さらに礼儀正しい言い回しを使うように意識することが重要です。
