日本の新年には、家族や親戚が集まり、子どもたちにお金や品物を贈る「お年玉」という風習があります。この風習は日本の正月を象徴するものであり、親族間の絆を深める重要な行事とされています。
しかし、この風習の起源や、現在のような形に至るまでの変遷について詳細に知っている方は少ないかもしれません。
興味を持つ人も多いでしょうが、海外にもお年玉と似たような文化が存在するのかという点についても疑問に思う方がいるかもしれません。
そこで本稿では、お年玉のもととなった起源と、その流れをたどる歴史に迫ります。さらに、世界各国におけるお年玉と類似した文化に関する情報もお伝えすることにします。
お年玉の起源:始まりは神様へのお供え
お年玉の起源は、古代の日本の信仰にさかのぼります。
お正月には「年神様(としがみさま)」という神様が家々に訪れるとされており、家族の繁栄や健康をもたらすと信じられていました。
この年神様に対して、お供え物を捧げる習慣がありました。そのお供え物がやがて「年玉」と呼ばれるようになったのです。
米や餅が「年玉」の始まり
かつては米や餅などの食べ物が神々へ捧げるお供え物として用いられていました。それらを神様に奉納したあとに家族間で共有し、食していました。
この慣習は家族の安寧や五穀豊穣を願う意味を持っていました。
この「分かち合う」という習慣が、今日におけるお年玉を贈る文化の基盤となっています。
お年玉の歴史的背景とその変化
1.平安時代
もともと貴族社会では、新しい年を迎える時に互いに贈り物を交わす慣わしが存在していました。この頃の「年玉」とは、主に社会的地位が高い人々によって行われるもので、贈呈される品々には米や絹布、その他の価値ある物品が含まれていました。
2.江戸時代
江戸時代に入ると、社会階層を問わず、上位者から下位者への品物の贈与が普及し始めました。貨幣経済の拡大に伴い、贈り物として現金が用いられることが一般的になり、お年玉の原型が形成されていったのです。この時、対象者は子どもだけに留まらず、奉公人や使用人もこの習慣に含まれていました。
3.明治時代以降
明治時代に入ると、お年玉を贈る慣行が広く庶民の間にも浸透していったのです。特に都会では、現金を子どもへ贈るスタイルが浸透し、今日見られる「ポチ袋」を用いる習慣もこの時期に生まれました。
時が経つにつれて、ポチ袋には愛らしい図柄や縁起を担ぐイラストが施されるようになり、多くの種類が出現しています。
海外に「お年玉」に似た文化はあるのか
お年玉のように、新年にお金や贈り物を贈る文化は主にアジア圏に広がっています。
以下は世界の似た習慣の例です。
1.中国:紅包(ホンバオ)
中国においては春節の際、紅包(ホンバオ)と称される赤い封筒に金銭を入れて渡す伝統があります。赤色は幸運や繁栄を意味し、主に子ども達や独身の若者たちへの贈り物として広まっています。贈る金額には様々な風習があり、吉祥とされる数字を選ぶことに重点が置かれます。
2.韓国:セベットン
韓国では新年のあいさつとして「セベ」を行った後、年上の者が年下の者(通常は子どもたち)にセベットンと呼ばれるお年玉を贈ります。日本のお年玉に極めて似通った風習であり、正月の定番行事として親しまれています。
3.ベトナム:リシー
ベトナムでは旧正月であるテトに際し、リシーと称される赤や金の色をした封筒に入れたお金を渡す風習があります。こちらも幸福や豊かさを祈る意味が込められており、主に若者や子どもが受け取ることが多いです。
4.欧米にはお年玉文化はない
しかし欧米地域では新年に現金を渡すといった習慣は見受けられません。代わりにクリスマスにプレゼントを交換する風習が確立しており、これが新年を祝う礼物の代替となっています。また、新年にパーティーを開いたり、グリーティングカードを交換する文化が、親族や友人との繋がりを深める役割を果たしています。
今日は旧暦の元日で春節です
こっちでは大人同士でもお年玉を配る風習があって上司→部下
既婚→未婚
大人→こども
(マンションの)住人→管理人さん
私→ネイリストさん
などなど
日頃お世話になってる人たちにも配ります今日仕事先でもらったお年玉
封筒がかわいいのもうれし
#LunarNewYear pic.twitter.com/1r5ZvXTrUS— ゆき☻ (@aeareh) February 10, 2024
日本における「お年玉」の風習
日本において、「お年玉」といえば、子供たちに贈られるものが一般的です。
年が明けて家族や親戚が一同に介する新年の集まりでは、お札を封筒に入れて手渡す慣わしがあり、この行事は子供たちにとって待ち遠しい正月のハイライトの一つといえるでしょう。
具体的な金額はその地域や家庭によって差があるものの、年長になるにつれて貰える額が多くなるのが通例です。配る側の大人には金銭的な負担を感じる場合もありますが、子供たちの喜ぶ姿を見ることで、その喜びが何よりもの報酬となります。
新札の両替に10時に行ったら、
終了していた。朝10時ですよ。お札のデザインが変わるからと、お年玉準備シーズンだけらだか。
お年玉の新札の風習よ。電子マネーじゃありがたみないし。困った。#お年玉#銀行
— 鈴木 喬(SUZUKI Takashi) I wish for world peace- (@farunifa) December 22, 2023
まとめ
お年玉の習慣は、古代日本において年神様への奉納物に起源を持つとされ、時を経て現在に至るまで形を変えて発展してきました。
アジア各国では、中国、韓国、ベトナムにも同様の文化が存在し、それぞれに独自の意味合いや特色があります。
一方で、欧米諸国では新年に現金を贈る風習は一般的ではなく、クリスマスや新年を祝う別の手段があります。
日本のお年玉は、単に金銭を交換するだけではなく、新たな一年の幸福や繁栄を祈る意義が込められた行為です。
この素晴らしい伝統を大切にし、家族の絆や文化的意義を次世代に継承していくことが願われます。