日本も影響?グリコのアイス撤退報道の真相を解説

グリコが「アイスクリーム事業から撤退する」というニュースが話題になりましたが、実際にはタイ市場限定の話であり、日本国内には一切影響がありません。
今回の撤退は、激しい競争とコスト高騰による収益性悪化が主な理由です。
さらに、グリコはこれを機に海外事業を「量から質」へと転換し、菓子や健康食品分野に経営資源を集中する戦略を進めています。

この記事でわかること

  • グリコのアイス撤退はタイ限定で、日本国内は影響なし

  • タイ市場での撤退理由(競争激化・コスト増)

  • グリコの海外事業の「量から質」への転換戦略

  • 今後注力する海外市場と事業分野

グリコのアイス撤退報道の概要と真相

グリコのアイスクリーム撤退報道が、日本のネットユーザーの間でも話題となりました。
「グリコがアイス事業から撤退?」と聞くと、日本国内のアイス販売が終了してしまうのではないかと不安になる人も多いかもしれません。
しかし、実際にはこのニュースはタイ限定の事業撤退に関するものです。
日本では引き続き、グリコのアイス製品が販売されるため、心配は不要です。
この記事では、まず最初に「グリコが発表したアイス撤退の概要」と「タイ限定である理由」、そして「撤退対象となる製品一覧」について詳しく解説します。
誤解しやすいこのニュースの正確な情報をわかりやすくお伝えすることで、混乱を防ぐことを目的としています。
報道の背景や意図を正しく把握し、安心してグリコ製品を楽しんでいただければ幸いです。

グリコが発表したアイス撤退の概要とは

2024年6月、グリコ(江崎グリコ)は、タイの現地法人「タイグリコ」が2025年末をもってアイスクリーム製品の販売を終了することを正式に発表しました。
この発表は、同社の公式サイトや現地メディアを通じて広く報じられました。
グリコは2016年からタイのアイス市場に参入し、「パリッテ」「ジャイアントコーン」「セブンティーンアイス」などの人気商品を展開してきました。

しかし、近年は市場環境の変化に直面。競争が激化し、さらに物流費や原料価格の高騰も重なり、収益性が大きく低下したと説明しています。
そのため、同社はアイス事業からの撤退を決断し、今後は菓子事業や健康食品事業に経営資源を集中する方針を示しました。

この発表は、日本でもニュースとして取り上げられたため、「グリコがアイスから撤退する」と誤解されやすくなっていますが、実際にはタイ市場に限定された撤退です。

タイ限定の撤退、日本国内は影響なし

日本での報道により、「グリコがアイス事業から完全撤退するのでは?」と不安視する声も聞かれました。
しかし、今回の撤退はタイの事業に限ったものであり、日本国内のアイス販売には一切影響がありません。
グリコは今後も日本で「パピコ」「ジャイアントコーン」「アイスの実」などの人気商品を引き続き販売することを明言しています。

タイではアイス事業を終了するものの、同国での菓子事業は継続され、特に「ポッキー」や「プリッツ」といった商品はこれまで通り販売される予定です。
日本とタイでは市場規模や競争環境が大きく異なるため、日本での事業撤退を心配する必要はないのです。

対象となるグリコ製品の一覧

今回のタイ市場での撤退に伴い、販売終了が決まっているアイス製品は以下の通りです。

  • パリッテ(Palitte)

  • ジャイアントコーン(Giant Cone)

  • セブンティーンアイス(Seventeen Ice)

  • パナップ(Panapp)

これらの商品は、タイ国内の一部コンビニやスーパーで販売されていたものですが、日本で販売されているものとは若干の仕様違いがあります。
ただし、ブランド名は共通しているため、日本人にも馴染み深い商品が含まれており、誤解を招きやすかったのです。

なお、タイグリコは撤退に際して、すでに販売店に対して告知を開始しており、2025年末まで段階的に販売を終了する方針を打ち出しています。

タイ市場でのグリコの苦戦と撤退理由

グリコがタイでのアイスクリーム事業から撤退する背景には、単なる「売れなかったから」という単純な理由だけではなく、複数の要因が絡み合っています。
タイのアイス市場は一見すると魅力的に見えますが、実は多くの大手企業がしのぎを削る過酷な競争市場です。
さらに、昨今の世界的な経済環境の変化により、原材料価格の高騰や物流コストの上昇といった外部要因もグリコの収益を大きく圧迫しました。

特にタイでは、欧米系大手ブランドとの競争が激しく、価格競争も年々激化しています。
このような厳しい状況の中で、グリコは「現地で利益を出し続けるのは困難」と判断し、最終的に撤退を決断しました。
ここでは、グリコが撤退を決断するに至った具体的な「競争環境」「コスト問題」「戦略的判断」について詳しく掘り下げていきます。

競争激化でシェア確保が困難に

タイのアイスクリーム市場は、世界的に有名な大手ブランドが多く参入している激戦区です。
特に、ウォールズ(Wall’s)やネスレといった欧米系ブランドは、圧倒的な知名度と流通網を持っており、シェアの多くを占めています。

これらの企業は、低価格戦略や現地ニーズに合った新商品の投入を積極的に行っており、販売促進も大規模に展開しています。
そのため、後発で参入したグリコは、思うようにシェアを確保できない状況が続いていました。

また、タイ市場の消費者は価格に敏感であるため、高付加価値型のアイス製品を中心に展開するグリコは、価格面でも苦戦。
現地の小売業者でも、売れ筋は安価な商品に偏りがちで、グリコの強みを活かしにくい環境となっていました。

輸入原料や物流コスト高騰の影響

タイ市場でのグリコの苦戦は、競争環境だけでなく、コスト面でも深刻化していました。
近年、世界的な原材料価格の高騰が続いており、特に乳製品・砂糖・チョコレートなどの原料は著しく値上がりしています。

さらに、タイ国内では冷凍物流費が年々上昇しており、アイスクリーム特有の温度管理コストが大きな負担になっていました。
これに加え、為替の変動も収益に影響を与え、グリコの財務状況をさらに悪化させる要因となりました。

こうしたコスト増は価格転嫁も難しく、販売価格を上げればさらにシェアを失うリスクがあるため、グリコは「採算が合わない」という厳しい現実に直面していたのです。

収益性悪化と戦略的撤退の決断

上記のような厳しい状況下で、グリコは長期的にアイス事業を継続することの意義を見直す必要に迫られました。
同社は現地法人の財務実績を詳細に分析した結果、今後も事業改善の見込みは低いと判断し、収益性の低いアイス事業からの撤退を決断しました。

実際、タイグリコは2016年の事業開始当初こそ成長を期待されていましたが、近年の業績は低迷。
菓子事業などの他分野では堅調な成長を維持していたことから、経営資源を「収益性の高い分野」に集中させる方向に舵を切ったのです。

今回の撤退は、単なる撤退ではなく戦略的な選択と集中の一環であり、海外事業全体の効率化を進めるための前向きな決断と言えるでしょう。

グリコの海外事業戦略と今後の展望

タイでのアイスクリーム事業からの撤退は、単なる一国の事業整理にとどまらず、グリコの海外事業全体の戦略転換を象徴する出来事でもあります。
グリコはこれまで、東南アジアをはじめとする海外市場への積極的な展開を進めてきましたが、その一方で、収益性を重視した「選択と集中」戦略への転換も急務となっていました。
特に、菓子事業や健康食品事業といった高収益の分野に経営資源を集約する動きは、グローバル企業全体のトレンドでもあります。

今回のタイでの撤退は、そのような動きの一環として位置づけられ、単なる撤退ではなく成長のための再編として捉えるべきです。
ここでは、グリコの海外事業の現状と今後の方向性について、具体的な施策や方針を踏まえて詳しく解説していきます。

菓子・健康食品への集中戦略

グリコは今回のタイ撤退を機に、菓子や健康食品分野への集中を明確に打ち出しています。
特に、タイ市場では「ポッキー」や「プリッツ」といったロングセラー商品が引き続き好調であり、これらのブランドへの投資を拡大する方針です。

また、グリコは近年、健康食品市場にも積極的に進出しており、乳酸菌飲料やアーモンドミルク製品「アーモンド効果」などの販売も好調です。
これらの商品は収益性が高く、安定した売上が見込めることから、今後はアイス事業からの撤退により得られる経営資源を、これらの成長分野に振り向けるとしています。

このように、より収益性の高い事業へ資源を集中することで、グリコは持続的な成長を目指しています。

海外事業の「量から質」への転換

これまでのグリコは、海外市場における積極的な事業拡大を進め、出店エリアの拡大や新商品投入を行ってきました。
しかし、ここ数年でその方針は変化しつつあります。
現在のグリコは、「売上規模の拡大」よりも「収益性の向上」を優先する「量から質」への転換を進めています。

具体的には、不採算事業の整理・撤退を進めつつ、安定して利益を出せる分野やエリアに絞った展開にシフトしています。
今回のタイのアイス撤退も、まさにこの方針の象徴であり、今後も同様の見直しが他国でも行われる可能性があります。

このような方針転換は、短期的な売上減少を伴う一方、中長期的には企業体質を強化するための重要な施策と位置付けられています。

今後の海外展開での注力分野

グリコは今後の海外事業で、主に以下の2つの分野に注力していく方針を明確にしています。

1つ目は、菓子事業です。ポッキーやプリッツといった商品は、すでに多くの国で認知度が高く、特に東南アジアや中国では安定した需要があります。
現地の嗜好に合わせたフレーバー展開や限定商品を通じて、さらなるシェア拡大を狙っています。

2つ目は、健康食品・飲料事業です。アーモンド効果をはじめとする健康志向の高い商品群は、世界的な健康ブームの追い風を受けており、今後も大きな成長が期待されています。
特に、植物性ミルク市場はアジア地域で急成長中であり、グリコはその波に乗る形で積極展開する方針です。

このように、グリコは今後も海外市場におけるプレゼンスを高めつつ、収益性重視の戦略で持続的な成長を目指しています。

まとめ

この記事では、グリコのタイにおけるアイスクリーム事業撤退の真相について詳しく解説してきました。
誤解されやすいニュースですが、実際には日本国内のアイス販売には一切影響がないことが明らかになりました。
タイ市場特有の競争環境やコスト問題が、今回の撤退を決定づけた主な要因です。
さらに、グリコは今回の撤退をきっかけに、海外事業の「量から質」への転換を本格化し、菓子・健康食品分野に注力する方針を明確にしています。
単なる撤退ではなく、中長期的な成長戦略の一環であることを理解することが大切です。

この記事のポイントをまとめます。

  • グリコのアイス撤退報道は「タイ市場限定」のニュース
  • 日本国内のアイス販売は今後も継続される
  • 撤退対象は「パリッテ」「ジャイアントコーン」などのタイ限定商品
  • タイ市場はウォールズ、ネスレとの競争が非常に激しい
  • 原材料高騰・物流費上昇が収益を圧迫
  • グリコは不採算事業からの撤退を進める方針
  • 菓子・健康食品への経営資源集中が進行中
  • 今後は「量から質」への海外戦略転換を加速
  • 菓子事業は東南アジアや中国で堅調に推移
  • 健康食品・飲料事業も海外で拡大を狙う

今回のニュースは、単なるアイス事業撤退にとどまらず、グリコ全体の海外戦略の転換点と言えます。
日本の消費者には直接の影響はありませんが、企業の動向として注目すべき内容です。
今後のグリコの海外展開の動きからも目が離せません。